本物のバンクシー作品を見てみたいという事で、イギリス旅行の際に、現地のバンクシー作品を巡り撮影してきました!
- バンクシー(Banksy)とは?
- バンクシーの作品を巡るうえでの注意点
- ロンドン(London)で見られるバンクシー作品
- Royal Family – ロイヤル・ファミリー
- Very Little Helps – ほとんど役立たない
- Cash Machine Girl – ATMの少女
- From this moment despair ends and tactics begin – この瞬間から絶望は終わり戦術が始まる
- Graffiti Painter (Velazquez) – グラフィティ・ペインター・ベラスケス
- Girl with A Pierced Eardrum – 鼓膜の破れた少女
- Grim Reaper – 死神
- You Don’t Need Planning Permission to Build Castles in the Sky – 天空に城を建てるのに計画許可は必要ない
- Well Hung Lover – 吊るされた愛人
- Paint Pot Angel – ペイント・ポット・エンジェル
- The Mild Mild West – マイルド・マイルド・ウエスト
- Rose on a Mousetrap – ねずみ取りの薔薇
- Take The Money And Run – お金を奪って逃げろ
- Cat and Dog – ネコとイヌ
- Valentine’s Day – バレンタインデー
バンクシー(Banksy)とは?
正体不明のイギリスを拠点とするストリートアーティスト。政治的なメッセージや社会問題に対する鋭い風刺、ユーモアあふれる表現で人々の好奇心を掻き立てます。
オークションでのシュレッダー事件
サザビーズのオークションで落札された《風船と少女》が、額縁に仕掛けられていたシュレッダーによって切り裂かれます。この出来事が世界中のメディアで大きく報道され、バンクシーの名声はさらに高まり、彼の作品に対する注目度が上昇しました。この作品は《風船と少女:Girl with Balloon》から《愛はごみ箱の中に:Love Is in the Bin》に改名されました。
ステンシルという手法
彼の作品、特にステンシルによるストリートアートは世界中で知られています。ステンシルとは、紙や板などにデザインを切り抜き、その上に塗料などを吹き付けて描く技法です。ステンシルという手法を用いることで、バンクシーは短時間で、そして非常に効果的に自身のメッセージを街中に発信してきました。
バンクシーの作品を巡るうえでの注意点
グラフィティは、いつ消えてもおかしくない!
作品はアクリル板で保護されているものもありますが、ストリート・グラフィティの性質上、いつ上書きされ、建築などの都合で消えてしまってもおかしくありません。最新の情報をチェックし無駄足にならないよう気をつけましょう。
ロンドン(London)で見られるバンクシー作品
ロンドンはバンクシーの作品を目にできる都市として非常に有名です。彼の活動拠点の一つでもあり、街の至る所に彼の作品が点在しています。
Graffiti Area (Guard Dog) & HMV
バンクシー自身が「グラフィティ専用のエリア」と指定したことで、多くのアーティストが作品を描き、常に変化し続けているアートギャラリーのような場所となっています。
Graffiti Area – 落書きエリア
以前は「Cargo」というお店がありましたが、訪れた時には「The Viaduct」というお店に変わっており、今現在はイベントスペースになっているようです「83 Rivington Street – Shoreditch Event Space」。午前中は門が閉じていて外から眺めるだけだったのですが、夕方に行くと門が開いていて中に入れてもらえました。
HMV (His Master’s Voice) – ビクターのロゴマーク
《Graffiti Area》の壁の一番奧にもバンクシーの作品があります。スタッフのお姉さんに尋ねると奧の《HMV》も撮影してイイよとの事で、見る事ができました。
Pink Car – ピンクの車
バンクシーの《Pink Car》は、ロンドンのブリックレーンにあるトルーマン醸造所の近く、エリー・ヤードに現れた彼の作品の一つです。トライアンフGT6というピンク色の車が、壊れたアクリルケースの中に置かれた状態で展示されています。
近くのブリック・レーン・ロードは、ストリートアートで埋め尽くされ、見応え十分です。
Yellow Line Flower (+Painter) – 黄色い線の花
学校や住宅のある静かな町の中にあります。
Yellow Line Flower
この作品は、都市の道路に引かれた黄色の線の上で、一輪の花が力強く咲いているというシンプルな構図が特徴です。今は、ラインを描き休憩している画家の姿は消されていて、道路のライン部分も短くなっています。
Beigel Bake
少し歩いた場所に「Beigel Bake」という24時間営業のベーカリーがあり、塩漬けの牛肉を挟んだ伝統的なユダヤ風のベーグルが絶品でした。超おすすめします!
I love London (+Robbo) – ロンドン大好き!
元々書かれていた《LONDON doesn’t work》が、King Robboの手によって《I Love London Robbo》に書き換えられ、今はそのRabboの部分が塗りつぶされています。
このネズミの部分だけ塗り残してあるのは、ビルオーナーの計らいだとか、アクリル板ガードのない貴重なバンクシー作品です。
Banksquiat – バンクスキア
2017-2018年 ロンドン・バービカン・アートギャラリーで開催されたジャン=ミシェル・バスキアの大回顧展「Boom for Real」にあわせて、バービカンのトンネルにトリビュート作品を残しました。
ジャン=ミシェル・バスキアとは?
ニューヨークのストリートグラフィティアーティスト。ダイナミックで絵画的なドローイングが特徴で、ユニクロのTシャツなどにも採用されています。
ポップアートの巨匠アンディ・ウォーホルとコラボするも、27歳という若さでヘロインの過剰摂取により永眠。
Boy and Dog in Stop and Search – 職務質問を受ける少年と犬
バスキアの《ジョニー・ポンプの少年と犬》をオマージュした作品。比較的行きやすい場所にあるので観光客が途絶えません。ロンドンで一番有名なバンクシー作品かも!?
Crown Ferris Wheel – 王冠の観覧車
少年と犬の反対側にも作品があります。観覧車のカゴがバスキアのシンボル、王冠になっています。
場所はバービカンセンターのトンネルの中で、中心地からも行きやすいです。
Royal Family – ロイヤル・ファミリー
エリザベス女王やチャールズ皇太子などを漫画キャラクターのようにデフォルメして描いています。今はその大半が黒く塗りつぶされてしまっています。
この作品のあるストーク・ニューイントン地区はストーキーの愛称で知られ、地元に根ざした小さなお店が並ぶ古き良き街です。お洒落なカフェもあったりと、ロンドンの中でもかなり気に入ってしまいました。バンクシーの作品がなかったら一生訪れる事はなかったかも。
Very Little Helps – ほとんど役立たない
薬局の横壁に描かれており、ロンドンに行くと必ずと言って良いほど利用する「TESCOストア」のビニール袋を旗に模して風刺した作品です。アクリル板でガードされているものの、右側の少年以外は原形をとどめていないのが残念です。
Cash Machine Girl – ATMの少女
ATMから出るロボットアームによって持ち上げられる若い女の子が描かれています。この作品は、消費社会における人間の欲望や、お金に対する執着といったテーマを皮肉っていると考えられています。アクリル板でガードされているものの、アーム部分以外は原形をとどめていないのが残念です。
From this moment despair ends and tactics begin – この瞬間から絶望は終わり戦術が始まる
環境保護の抗議活動の拠点となったマーブル・アーチに描かれた作品です。アクリル板でガードされていて保存状態も良く、賑やかな街に溶け込んでいる雰囲気を感じられるのじゃないかと思います。
ハイド・パークを散歩がてら見に行きました。ロンドン地下鉄セントラル線のマーブル・アーチ駅がすぐ側です。
Graffiti Painter (Velazquez) – グラフィティ・ペインター・ベラスケス
《ラス・メニーナス》で知られるスペインの画家ベラスケス風の画家が、赤い文字でバンクシーと描いています。通りの角にあるレストランの中にあり、作品の前にお客様がいらしたのですが、よく写るようにと除けてくれました。ありがとうございました。
ノッティング・ヒルの世界最大級のアンティークマーケット、ポートベッロ・ロード・マーケットが近く賑わっています。
バンクシーの故郷、ブリストル(Bristol)で見られるバンクシー作品
バンクシーのルーツはイギリス南西部にある港町ブリストルにあります。
パディントン駅からGWR(Great Western Raleway)に乗って約1時間30分、ブリストルを訪れました。
Girl with A Pierced Eardrum – 鼓膜の破れた少女
フェルメール《真珠の耳飾りの少女》をモチーフにした、ブリストルで一番有名なバンクシーの作品。警報器を耳飾りに見立てて描かれています。作品のエリアには鉄柵があって近寄ることは出来ませんが、柵越しに撮影できます。
Grim Reaper – 死神
「M Shed」という入場無料のブリストル博物館内に展示されています。ブリストル港に係留されていたThekla社のボート側面に描かれましたが、破損や摩耗から作品を守るために切り取られたそうです。寂びた下部分には手こぎボートが描かれていました。
You Don’t Need Planning Permission to Build Castles in the Sky – 天空に城を建てるのに計画許可は必要ない
元々は排気口が二つあり、それを目に見立てて文字で口が描かれました。今は左目を失い搬入口で口の一部も描き直されてしまいましたが、そのストレートなメッセージが印象的な作品です。後ろの階段を上がると《Well Hung Lover》近くの道に行けます。
Well Hung Lover – 吊るされた愛人
全裸の男性が窓にぶら下がり、室内ではスーツを着た男性が女性と密会している様子を描いています。性的行為を婉曲的に表現しており、不倫や道徳的な問題を風刺していると考えられています。この作品をきっかけに、ストリートアートが芸術として認められるようになった側面があります。
大聖堂と市庁舎と市立美術館で通りは賑わい、記念撮影をする人が絶えません。
Paint Pot Angel – ペイント・ポット・エンジェル
バンクシーの出身地ブリストルにあるブリストル市立博物館・美術館にて2009年に開催されたエキシビション「Banksy versus Bristol Museum」で展示された彫刻が、今もそのまま展示されています。
The Mild Mild West – マイルド・マイルド・ウエスト
バンクシー初期の作品で、白いテディベアが黒い機動隊に向かって火炎瓶を投げつける様子が描かれています。1990年代ブリストル周辺の廃墟となった倉庫で開かれる無許可のパーティーを制圧する機動隊と、それに抵抗する参加者の構図のようです。
Rose on a Mousetrap – ねずみ取りの薔薇
ネズミ捕りの上にバラが描かれています。地元の住民は、この作品を破壊行為から守りたいと考え、お金を出し合って額装をしました。ブリストルの人々が地元出身のアーティストに対して抱く誇りがよくわかります。
Take The Money And Run – お金を奪って逃げろ
ブリストルに現存するバンクシーの最も初期の作品。ストリート・アーティスト、インキーとモブズと共作です。
写真は2022年に訪れた時の状態ですが、今Googleストリートビューを見ますと、その大半を上書きされてしまったかも知れません。
Cat and Dog – ネコとイヌ
バンクシーがDryBreadZ Crew(DBZ)のメンバーとして活動していた時期に制作されたものです。「There are crimes that become innocent or even glorious through their splendor, number, and excess.(その素晴らしさ、数、過剰さによって、罪のない、あるいは栄光にさえなる犯罪がある)」という文章が書かれています。
Valentine’s Day – バレンタインデー
少女がパチンコで赤い花を家の側面に発射する様子が描かれていましたが、現存し保護されているのは赤い花の部分のみ。少女は板で蓋をされて見えず、工事するおじさんのような絵が描き加えられていました。
まとめ
いかがだったでしょうか? 世界中で話題のバンクシー作品とその生まれ故郷を生で見てまわるという、とても貴重な体験ができました。ブリストルも素敵な街並みで、歩いていてとても楽しかったです。
グラフィティは生モノ。作品が残っているうちにぜひ現地で鑑賞しましょう。